FC2ブログ

Radio Wavelog -Contact Of Personality-

ARTICLE PAGE

ON AIR#903 休暇(2007 日本 115分 7/05 有楽町スバル座にて)

映画
  • comment0
  • trackback0
・有楽町まで自転車散歩。楽しかった。

休暇
・小林薫が好きというだけの理由で観たのだけれど、思わぬ良い映画に出逢えた。

・全体的に静かな映画ではあるけれど、これぞドラマだといわんばかりの骨の太い話。
死刑囚の死に立ち会う。その代わりに一週間の休暇を得られる。その休暇は新しい家族のためだ。しかし、それを妻には言えないままでいる。それだけで映画を持たせる。これはすごいな、と思った。小林薫演じる平井という男が、刑務官の仕事をなぜ選び、今の仕事をどう感じているか、また、結婚までの人生のバックグラウンドが描かれないので、人間らしく思えないのが難点だが、それを考えなければこんなに力のこもる邦画は久々。

・西島秀俊演じる金田がなぜ死刑を宣告されてしまったかという経緯は、映画では明確には語られない。けれど、そこがリアルだ。死刑囚は塀の中、つまり社会の中から離れた世界に入れられたら、我々塀の外の人の心からは忘れられた存在になっていく。死刑囚になってからは、その死刑囚がなぜ人を殺したかは関係がなくなっていくからだ。そして、刑務官にとっても。

・だが刑務官はそうはいかない。死刑までの経緯は知らないくとも、西島演じる金田は死刑囚、死が少なからず目前にあるよく分からない人間と向き合わなければいけない。そういう怖さは、決して理解しようとしても簡単にはわからないのかもしれない。

・この映画の中で、日本の死刑の仕組みが語られるが、いまさらながら、死刑執行当日まで、死刑囚に死刑執行の情報を与えない、加害者や被害者の家族にも知らせない、という事実に驚いた。死刑を描いた映画を何作か観たが、その事実は明確には表現されなかったし、特にアメリカ映画の場合、「デッドマン・ウォーキング」のように、執行日が、死刑囚にも、被害者遺族にも知らされるからだ。

・最近、朝日新聞による鳩山法相に対する「死神」という表現が問題になったが、この作品を観て、改めて、この表現が間違った安易な表現だと感じた。あの夕刊のコラムは、うまく前後の文章と韻を合わせるリズム感が売りで、自分自身もよく読むのだが……鳩山法相の執行のペースが正しいと断定はできない。もう少し他にやり方があるのでは、とも思う。だが死刑を執行する立場の者が死神なのなら、この映画の登場人物は、皆、死神なのだろうか。この映画の人物たちは、「死」の近くで必死に生きている、人間だった。

・「休暇」は死刑制度の是非を問うだけの作品ではないが、不器用な若くもない男が、新しい人生の一歩を踏み出し、生きるためには何かを奪わなければいけない、そんな矛盾に迷う姿を描いたすばらしい内容だった。だが、先に述べたような、日本の死刑の制度を見て、本当に日本の死刑制度はこのままでよいのか、そういうことを考えた。
スポンサーサイト



Comments 0

Leave a reply