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ON AIR♯83 ~のびのびシネマライフ 磯村一路監督作品「船を降りたら彼女の島」~

映画
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今日は一日中台本を書きつつ、157回くらいため息をついてました。

時間の早さはよくわからんものですね。終わってみると無駄にすごしたようにしか思えず、すごく早かったように感じる。
でも、何も終わってないときは本当に長いわけですよ・・・ん~もう早く明日になってCDの収録したい。そのほうが健康的な生活できるでしょう。


さて、今日はある親子の物語です。


今日紹介するのは磯村一路監督の「船を降りたら彼女の島」という作品です。

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船を降りたら彼女の島(2002)

東京の出版社に勤務する久里子は、カメラマンの恋人・充生との結婚を決意し、そのことを両親に報告するため、2年ぶりに瀬戸内海に浮かぶ故郷“瀬ノ島”を訪れた。教師を定年退職した父・周三と母・泰子は、廃校になった小学校を改築して民宿を営んでいた。娘の突然の帰省に、何かあったのではと心配しつつも平静を装う周三。久里子もまた、父を前にすると伝えるべきことが何故か言えなかった。そんな特別な里帰りは、一方で久里子の心に幼い頃の淡い思い出を蘇らせる。久里子はやがて、幼馴染みの健太を連れて初恋の人・隆司を探す小さな旅に出るのだが…。(Yahoo!ムービーより)

東京から地元の島に帰ってきた久里子と、彼女の父、周三の親子愛、そして、過去への郷愁を描いた物語。
監督の磯村一路さんは、愛媛をロケ地に選んでいるわけなのだが、この作品の前に、同じ愛媛を舞台とした「がんばっていきまっしょい」の監督でもある。僕はその「がんばっていきまっしょい」を観ていないのでなんともいえないのだが、その作品で愛媛を舞台に一つの作品を作り上げただけあって、本作の愛媛の風景はとても上手に撮れているのが印象的だった。やはり美しい絵をどれだけカメラに収めていくかは映画の醍醐味なんだろうなと思う。そのままを切り取る写真とは違い、手を入れた絵がほとんどだけれど、そうやって手に入れた絵が人の心を動かすっていいことだなと確認できた。

前半は今時、珍しいとさえ思うほどスローなテンポで物語が進行していく。音楽はほとんど使用しない。カメラもほとんど動かさない。そのことが余計に時の流れを遅くさせていく。この撮り方はあんまり最近の映画に慣れてる人が観たら飽きがきてしまうんだろうな。でも別に自分は昔の映画を観てるから大丈夫、というわけではない、もちろん、本作のような撮り方は、観る者の意表をつくし、あっていいものだ。しかしその一方で、そういう撮り方は逆に危険なのではないかなとも思う。

後半は一種のロードムービーのように進行していく。そこでも愛媛の風景の美しさにため息をつくことは間違いないだろうけれど、脚本は前半の結婚への戸惑い、要はマリッジブルーを描いていたのに対して、後半は彼女の初恋の思い出を初めとした、過去に対する郷愁を強く描いている。そしてクライマックスの久里子のナレーションは、切なさで胸が締め付けられること間違いない。たった一つの帰る場所、たった一つの思い出の鈴、どんなに呼んでも戻らぬ初恋、そして、おぼろげな未来……。絵の美しさ、静かに流れる時に実を任せて、この切ない物語を観ることは決して無駄ではないだろう。

とまぁ、久里子のマリッジブルーの視点で描かれていく作品なのだが、実はこの映画、もう一つの視点で観るともっと面白い。そう、久里子の父、周三の心の動きから見つめることも可能なのである。
周三を演じる大杉漣の演技は秀逸で、まさに日本の父親。実際より年老いた役をやるにあたって、10kgも体重を落としただけあって、いつもの大杉漣らしい演技、というより、本当に別人になっていたように見えてしまうのが素晴らしい。
その大杉連の演技もあって、周三の久里子への会話はとてももどかしく、リアルで一気に引き込まれる。そして、彼がどうして、あの場所にいつも行っているのか。その一途で感動的な理由はラストにわかるので、是非観ることを勧めたい。

木村佳乃、大杉漣の好演技はもちろんなのだが、脇役で一際輝いていたのは、健太役の照英である。回想シーンと今とが繋がるような演技ができていたし、海の男という雰囲気もしっかりと出ている。スポーツマンであった彼を健太のような役に抜擢したキャスティング側がうまかったのももちろんあるが、やはり照英の演技力も褒めておくべきだろう。
そして、現在は「石原さとみ」として、ドラマに映画に活躍の場を広げている彼女が、本名、「石神国子」として出演していることも忘れてはならない。彼女も、出演するのは少しの間ながら、かなり重要な役を担っていて、それをしっかり演じ切れている。今の活躍は、決して幸運だけではないのだろう。

この映画を観て終止感じたのは、この映画、小津安二郎監督の影響を受けてるのではないかということだ。めったに動かさないカメラワーク、飲み屋での会話のシーンの画面の切り替え方。カメラの使い方が、小津そっくりなのだ。
そして、話は違えど、結婚を題材に親子愛を描くところなどは、小津安二郎の代表作「秋刀魚の味」そのものではないだろうか。ラストシーンも景色はだいぶ違うが、全く似ていないわけではない。
こういう純な映画を観たときに、小津安二郎映画を思わせるカットを観て雰囲気浸るのは、とても幸せだった。こういう静かな映画、最近では少なくなってしまったけれど、なくならないで欲しい。


曲は、この映画の主題歌は押尾コータロー「木漏れ陽」。そして挿入曲「プロローグ」と、同じくこの映画で使用された曲「黄昏」を。
前にもこのブログで彼を紹介しましたが、やはり彼はすごい。近くまたアルバムを出すそうですが、山崎まさよしとのコラボもあるそうで。楽しみです。ソロギター奏者を目指す全ての人の憧れですね、彼は。
ギターインストってマイナーだったけれど、最近、彼やDEPAPEPEとかのおかげで少しずつ有名になってきているのかも。

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押尾コータロー Dramatic

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Comments 2

hiro  
深いですね

深い洞察に感激しました。拙い感想ですがTBさせていただきました。

2005/09/01 (Thu) 22:02 | EDIT | REPLY |   
のび太は受験生  
ありがとうございます!


自分の文章を褒められて、嬉しくないわけがありません!本当にありがとうございます。
やっぱり小津安二郎監督へのオマージュを感じますよね。

押尾コータローさんの曲は本当に良いのでオススメですよ~。

2005/09/02 (Fri) 03:18 | EDIT | REPLY |   

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  • 2005.09.01 (Thu) 22:03 | Salud!amor y Salsa ! ☆
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  •  船を降りたら彼女の島
  • 2002年。主演は木村佳乃。その他めぼしい所では大御所大杉漣さんに、「ナビィの恋」の村上淳、水戸黄門の照英。舞台は愛媛県の瀬戸内海、しまなみ海道の大三島(地図)を中心にその周辺の島々を描いた作品。正確に言うと、彼女の島は、船でしか行けないような小さな島(映画
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