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ON AIR#595 ~クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ! 戦国大合戦(2002)~

映画
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時代劇は、制約の中にドラマを成り立たせることに意義がある。
たとえば一つの事件が起きたとして、それがインターネットに繋がって世界が動くという作品は作れない。考証の必要が生じたりと、世界を自由に動かせないために、なかなか過去に手を出せない。
逆に現代劇は、自由の中にドラマを成り立たせる。自由なほどドラマは作りやすく思われるが、実は制約がないということは主人公たちの障壁を作りにくい。それが逆に可能性を見せてくれるわけではあるのだが。

時代劇と現代劇を融合させた映画というと、近年では「戦国自衛隊1549」があったが、一般的にはいい評価を得ていなかったと聞く。このように時代劇と現代劇を合わせるということは非常に難しい。どうしても回想形式や、タイムスリップものになってしまい、ドラマのリズムや、考証に不具合が生じてしまう危険が常にある。そして何より、過去と現代では物語の作り方が根本的に違うのも原因と考えられる。

しかしながら本作、クレしんは、子供アニメでありながら、時代劇の要素と現代劇の純粋なドラマチックな要素を取り入れ、見事に最高の恋愛映画として昇華させているのが興味深い。

現代の、ちょっと変わった春日部に住む野原一家が何故かタイムスリップし、そこで戦国時代の荒波に飲まれていく。
しんのすけが知り合った一人の侍は、身分の違う幼馴染に恋をしている。侍は自分の心を殺そうとするが、現代の世界に生きているしんのすけは、軽くその気持ちをいなし、愛する人を想う大切さを、邪気なく語る。そこから全ての物語が始まっている。
制約と自由が生み出す哀しい奇跡。過去と現代が持つさまざまな感情のズレが全ての発端であり、純粋に分かりやすく、全てを忘れて感情移入できる作り方になっている。
そこにはもう、タイムパラドックス、時代考証など、野暮な横槍は必要ない。あるのは感動だけである。

無理に凝ってしまうと、途端に冷めてしまうのが現代の映画、とりわけ恋愛映画の危険だが、これは、時代劇と現代劇が融合してできた、上質のラブ・ストーリーである。こういう恋愛は、あるようで実は、なかなかない。
これは、本当に観ないと損! と本気で思う。
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