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ON AIR#574 ~やわらかい生活(2005)~

映画
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寺島しのぶ主演、荒井晴彦脚本。
寺島しのぶは不思議な演技をする。演技らしい演技はせず、だがかといって自然過ぎる演技もしない。特別な存在でもなく、どこにでもいる人でもない。つかみどころのない役者だ。そんな彼女がスクリーンで動くとき、思わず目が彼女に釘付けになっていく。まるで一切の感覚が麻痺したかのように、ただ彼女の作り出す空間に吸い込まれていく。凄い女優だと思う。

躁鬱患者の主人公が描かれているが、銭湯に行かなきゃいけないという設定はちょっと作為的過ぎるかなとも思う。だが、主人公が世界と触れ合い、休憩していく、その感覚を上手く引き出しているのが銭湯でもある。

この映画の脚本が描きたかったことは何なのか、自問自答してもすぐに答えが出てこないのだが、本作の持つ独特の喪失感、同時に得る独特の満足感は、すべて我々人間が日常で感じるものと直結しているような気がする。人と人は偶然に出会い、偶然に別れていく。人の出逢いには必ず別れがあり、別れの後で必ず出逢いがある。

失恋であれ、死別であれ、喪失は、誰にでもある。生きていれば確実に。

喪失は、悲しい。死にたくなるほど悲しくなることだってある。それでも……それでも、失って初めて、それまで得ていた物の大切さに気づくこともある。

果たしてそれは、本当に悲劇なのだろうか。

この映画の主人公は、あの後どのような出逢いをするのだろうか。
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