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ON AIR#537 ~ブリッジ~

映画
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なんとなく生きることに苦しさを感じることがよくある。
それでも日常の些細な喜びにすがってしのいでいる、そんなときに本作を観た。

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ブリッジ(2006)

冒頭から、人が自殺するシーンを見せられる。
フィクションではない。
正真正銘、人が死んでいく最期の瞬間を、観客は見る。

ほぼ二週間に一人のペースで自殺者が出るゴールデンゲートブリッジを通して語られる衝撃の作品である。

自殺を完全に否定することはせず、「むしろ、死んで楽になれてよかったのかもしれない」と、淡々とコメントする遺族の目が忘れられない。

一方で奇跡的に命を取り留めたことで、自分が生きている喜びにようやく気づけた若者の、控えめだが力強い希望の言葉もあり、自殺志願者を止めたカメラマンのコメント、彼が捕らえた自殺しようとする瞬間をとらえた女性の写真などがワンカットで挿入されていく。

観客はこのドキュメンタリーを見て何を感じるべきなのだろう。
自分自身、短いとも長いともとれないこの一生の中、自分が生きていることに対して特別な希望を抱いているわけでもない。
決して生き続けたいわけでもない、けれど、自ら死ぬということが怖くもある。
どちらが正しいと判断していいのか分からないテーマの中で唯一感じることは一つ。
死と生に優劣など存在しない。死も生も、苦しみと喜びに満ちた存在である。
だが、人生の中で、人が死を選ばざるを得なかったほどの社会的な問題が必ず存在する。今回の映画でいえば、医療の問題も、人種差別の問題もそうだろうし、格差社会のもたらす悲劇も、世の中には必ず存在するのだろう。誰とも輪からない者に押し付けられた価値観に縛られて自らを悲嘆せざるを得なかった人間関係のこじれ。何かをけなげに信じてきた人を決定的に痛めつける誰かの裏切り。

生より死を選んでしまうこと、誰かに汚染された生を押し付けられることが、恐ろしいほど普通に、我々の周りにはびこっていることに、気づくべきなのかもしれない。
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