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ON AIR#532 ~しゃべれども しゃべれども~

映画
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今回の作品は、「愛を乞うひと」というあまりにも名作! な映画を撮った監督の映画なのでDVDになる前に鑑賞しました。

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しゃべれども しゃべれども(2007)

国分太一の演じる、実直で一本気な男、今昔亭三つ葉に好感が持てる。
決して強烈な上手さを感じる演技ではなかったが、与えられた役柄を素直に演じていた。

二つ目の落語家が、話し方教室にやってきた生徒を通して、落語家として、そして人間として成長するまでのプロセスが描かれる映画ではあるが、主人公自身のドラマは案外弱く、それよりももう一人の、暗く塞ぎこんだ女性、十河の成長を注目して観ると、落語を知らぬ人でも楽しめるだろう。

十河を演じた香里奈だけでなく、三つ葉の祖母役の八千草薫、阪神タイガースファンで関西弁の小学生を演じた森永悠希、そして強面の野球解説者役の松重豊らの演技が、うまく国分の演技を引き立たせている。演技者という観点でもそうなのだが、人と人の関係が、一方通行ではなく、ちゃんと相手が心を開いて歩み寄るという本作のテーマと重なり合っている。

映画に出てきた登場人物たちを見ているとわかるが、分かり合うことは難しく、彼らはいつも反省や後悔を繰り返すような生活に生きていたのかもしれない。自分を出せず、いつも何とかしなければと焦っている。それはきっと、観ている人も、自分自身もそうだろう。

映画は最後まで、完全に分かり合える形を見せない。三つ葉は相変わらず二つ目の落語家だし、大成するかは当然分からないままだ。三つ葉と関わった人たちも、本当の意味で自分らしい生き方ができるとは限らない。ラストシーンと、ゆずの歌う主題歌を重ねて考えれば、まだまだ彼らは「曇り空」の下を生きている。主題歌の明日が「雨」になるかもしれないし、もしかしたらもっとひどい結果になるかもしれない危うい空だ。だが、それでも明日の「青空」を願うこと、そういう生き方をしようと自分自身が決心して踏み出す。その一歩を、静かに、丁寧に描いていた。
切ないが思わず笑ってしまう、そんな、どこまでも前向きな映画である。
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