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ON AIR♯50 ~のびた身長文庫 「いじめの時間」~

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今日は前期最後の通常部会に参加してきました。
なんかホントに早い三ヵ月だったなぁ。こんなに早いのは初めて。とにかく、早かった。これからどんどん時は過ぎていくのだろう。少し寂しい。でも、不思議と哀しくはない。

今の部に入ったことは間違いではありませんでした。先輩、同輩、いろんな人に出逢えました。そしていろんな刺激を皆さんから頂きました。
時々今でも劣等感を感じたりします。でも、それとは違う何かが今の僕を突き動かしてる気がするのです。うまくは言えないけれど、そんな感じ。

そんな素晴らしい部会ですが、江古田の先輩とはしばしお別れになります。だから思いっきり戯れてきました。

右も左も分からなかった四月に今の部に入部したころに比べると、さすがに先輩方は僕に甘くはしてくれなくなりましたが・・・(笑)、いや本当にそんだったんすよ、僕一人のために先輩がカラオケと食事に誘ってくれたり(しかもオゴリ!)・・・今でも先輩は大好き。いつかは僕らもそんな先輩になりたい。

さて今回紹介するのは、七人の作家による七編のオムニバス小説、「いじめの時間」(新潮文庫 本体438円税別)です。

この作品は女性作家の作品が多くて嬉しい。自分は男性作家より女性作家のほうが好きです。堅苦しくなくて読みやすいから。もともと映画やドラマ、ラジオに触れていて、日常に即したものを好んできたからかもしれません。そんな自分も、最近、重松清の本に夢中になっているわけですが。
文芸学科に入らなかったら、こんなに小説とか読む人間にはならなかっただろうなぁ。映画はもちろんのことだけれど、小説から心の糧になる物語を得られるのは、自分にとって大きなプラス。
物語っていうのは、言うなれば自分の感情に対するカンフル注射みたいな物。どういうとき、どういうことを感じて、どういう生き方をするか、ということを物語っていうのは教えてくれる、というか、参考になる。
それに今の学科にいるからこそ部活動も愛せているんじゃないかとも思ってきた。本当に不思議なのだが。

話が横道に逸れてしまった。そろそろ本題に戻るとしますか。まずはさっそく表紙と裏表紙から。文庫の外見って、重要ですからね。

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「いじめられる子」と「いじめる子」。ふたりの間に横たわるのは、暗くて深い心の闇。でもいつのまにか両者が入れ替わったり、互いの傷を舐めあっていることもある。さまざまな「いじめ」に翻弄され、心が傷つき、魂が壊れることもあるけれど、勇気を出して乗り越えていく者もいる。希望の光が差し込むこともある――すべて「いじめ」をテーマに描かれた7人の作家による入魂の短編集。

感想へ。

緑の猫  江國香織
主人公は女子高生。大の仲良しの友達が急におかしくなって・・・
皆さんが予想している通り、まずはその友達がいじめられ、それをかばう主人公までもがいじめられる、という話。
この話、友達がなぜいじめられるほどまでにおかしくなってしまったのか、の描写が皆無で、そこがまた現実感があって恐ろしい。
しかしこの主人公に、自分はどうしても納得できないんですよね。この主人公は、友達と知り合いの区別をハッキリしている女の子なんですが、その友達がおかしくなった主人公ただ一人なわけですわ。それ以外には、仲良くする必要なんてないって考えてるんです。自分はそれがあまり理解できないですよ。やっぱり知り合いと友達は違うのは認めますが、それ以外に仲良くする必要ないって思えるだろうかな?
はっきりいってこのお話、誰にも感情移入できませんでした。主人公は特に。自業自得じゃないか。

亀をいじめる  大岡玲
主人公は教師。学生時代にいじめを受けた男である。彼はそのいじめが原因で、他の誰の周りのいじめも「いじめ」だと感じることができなくなった。そして、彼は、その鬱憤のはけ口を・・・
この話は暗い。暗すぎる。希望も何もない。あるのはただ絶望のみだ。そして学校教育の体制に対する揺るがない反逆の精神がこめられていて。非のうちどころのない絶望的作品。これはオススメだが、自分は好きではない。やっぱり男の作品は妙に重苦しい雰囲気にするから好きじゃない。

空のクロール  角田光代
主人公は小学生の頃からいじめをうけていた。小学三年生のころから、高校から大学までエレベーター式でいける名門中学に通いたくて必死に勉強していたが、結局落ちる。代わりに少しランクの下がるおなじくエレベーター式の付属中学に入ったのだが、そこで待ち受けていたものは。
この作品は「いじめ」というものをエッセンス程度に使った作品ではないかと考える。たしかに「いじめ」を表に出しながら書いてはいるが、この作品で暗に訴えているものは、親のやることの愚かさとか、エレベーター式の学校の暗い側面を見せ、批判したかったようだ。
だが、エレベーター式でも幸せに過ごしてる人って、僕の周りにけっこういるんですよ。エレベーター式の学校は、けっこう小説とかでいろいろと暗い印象を与えることが多いけれど、決してそんなことはないんですよね。先入観や偏見だけで物語を作ってはいけない。あくまで一つの設定として使うようにならなければ、読者の反感を買うぞ。

ドロップ!  野中柊
「ドロップ!」というタイトルには、二重の意味が込められている。上手ですね。
うーんでも、この作品も暗いなぁ。こんな可愛そうな主人公がこの日本にいるのかと思うと気が滅入るよ。大岡玲ほどの表現力やどす黒さがないだけまだいいかも。

リターン・マッチ  湯本香樹実
大好きな作家でありながら、名前を「かきみ」とか読んでました、すみません。本当は、「かずみ」だそうで。
「夏の庭」で大感動、「ポプラの秋」で僕を湯本ファンへと導いた彼女の作品が読めるからこの本を買ったようなもの。本作も期待を裏切らないものでした。
僕が湯本ファンだから、というのもあるが、この話は是非皆さんに読んでもらいたい。似たり寄ったりな作品が目立つ中、この作品だけは方向性が根本から違うような気がする。世の中への批判。親への批判。そして、自分自身への批判。何もかもが。
いじめられた末にあることやった男の子。そして、その子を中途半端な気持ちで・・・みんながやってるからいじめていた主人公。この二人の物語はあまりにも痛く、鼻が一気にツンとなった。
そして、希望もない解決もないこの本の中でひときわ輝くこの感動はなんなのだろうか。確かに解決などされていない。現実というものを教えてくれる作品ではある。だが、この作品にはきっと人に勇気を持たせる力がある。印象的な文が多すぎて紹介するには時間がない。とにかく大絶賛。死ぬまで忘れない一作になるだろう。

潮合い  柳美里
「命」があまりにも有名な彼女。こんな作品も書いているのですね。
このタイトルは、きっと主人公の気持ちのことを言ってるのであろう。自分への嫌悪からいじめへ走る女の子の感情がとつとつと語られていく。
いじめられる子は家族に何か事情を抱えているらしいが、確実な理由は語られない。「緑の猫」と同じく、リアルさがある。でも、ストーリーとしてあまり面白くないかな。変化がないから。

かかしの旅  稲葉真弓
なんだか、今読んでる重松清の作品とかぶるなぁ。まぁ「かかし」の意味はまったく違ってるけれど。夏休みがテーマなのも少し似てるかもしれないが。
意外性のある(?)文章形式が印象的。だから、主人公の思いが本当に誰かに伝わっていくようで不思議だ。
どんな過去を背負っても、それを乗り越えていこうとする主人公に心打たれた。心に傷をもった人が気楽にやり直せる時代、理想に過ぎないかもしれないが、追う価値はある。

☆全体を通した感想☆
正直、あまり裏表紙の説明どおりの作品はなく、始終、暗い話に付き合わされた。理想とは違う現実を教えるという作品もあっていいと思う。だからこそ人間は理想を追えるわけなんだから。


曲は木村カエラで「Level 42」。
ちょっと暗い話をしましたが、この曲はかなり励まされる1曲。歌詞も明るい!

勝手にしてと 逃げだすのは It don't do me any good
一歩ずつ 近ずいてるじゃない It gets better than you know
心と体がバラバラで
それは自分が 思ってるだけよ
Hey! you listen!
あなたの求める未来を
So! 必ず たどりつけるはず
素敵な人生のはじまり
思ってるより よくなるから
君のために ずっと歌ってあげるから


僕はこれからも希望を追い続けるのであろうな。どんなに現実に負けることがあっても。最後まで信じていたい。

にしても木村カエラはいいですね。きれいだし歌うまいし。この曲でデビューとは思えないいい曲。

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Comments 5

のび太は受験生  
ちなみに


「リターン・マッチ」でそれとなく、「太陽を盗んだ男」という素晴らしい映画のことが使われていて嬉しくなりました。ますます湯本ファンになった今日この頃。

2005/07/12 (Tue) 20:26 | EDIT | REPLY |   
ましろ  
TBありがとうございました!

のび太は受験生さん、はじめまして。
トラックバック、ありがとうございました。
辛口のレビューで、楽しませていただきました。
明るくまとめて終わるところがいいですね。
今後も宜しくお願い致します。

2005/07/12 (Tue) 21:51 | EDIT | REPLY |   
のび太は受験生  
>ましろさん


こちらこそどうも!
僕はそんなに辛口ではないですよ。むしろ甘口です。
ましろさんのブログは猫ばかりで可愛いです。僕の友人に猫大好きな人がいるので見せてあげたいくらいですわ。
「いじめ」は伝染するっていう言葉にしびれました。自分の学生時代だってそうだったから。いじめる側にもいじめられる側にも立ったことあるから余計に真剣に読んでしまいました。

2005/07/12 (Tue) 22:33 | EDIT | REPLY |   
alice  
こんばんは。

TBありがとうございましたー。
はじめまして。

すごく丹念にBLOGを書いているので
読み応えがありました。
リターン・マッチ、よかったですよね。

また遊びにきます。

2005/07/15 (Fri) 23:58 | EDIT | REPLY |   
のび太は受験生  
どうも~


丹念にブログ?ありがとうございます。嬉しい。ただ好きなことを好きなこと書いているだけですが、これからも暇があったらでいいので覗いてみてくださいね。小説や本の紹介どんどんしていくつもりなので。

2005/07/17 (Sun) 01:12 | EDIT | REPLY |   

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