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ON AIR♯49 ~のびた身長文庫 井伏鱒二「山椒魚」~

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火曜日は午後の授業がまったくないので、つい怠けてしまいがちです。今日も怠けました。
ただ、FM入間の企画書はしっかり書きました。パートナーと、どういう放送にしたら面白いだろう、ということを考えて議論しあいました。その結果、予想以上に面白い番組になりそう。やっぱりあいつはアイデア出しの天才だと思う。そんな彼はシナリオ作家を目指してるわけだが。やっぱりプロデューサーにも向いてるよ、うん。
FM入間はローカル局なので、地域的に聴けない方もいると思います。なので、もしこの企画が実際にラジオで放送できたら、どういう内容の収録を行ったか、を、おいおいこのブログで紹介していこうかなと思っております。


さて、今日ご紹介するのは、井伏鱒二の「山椒魚」です。タイトル作含む、12編の短編集です。12編も紹介するのは少々億劫ですが、一応全部感想を言います。興味を持った作品とそうでない作品で、だいぶ言ってることの内容の濃さが変わってしまいますが、お付き合いください。

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まぁまずは、裏表紙の説明書きから。

老成と若さの不思議な混淆、これを貫くのは豊かな詩精神。飄々として明るく跟々として暗い。本書は初期の短編より代表作収める短編集である。岩屋の中に棲んでいるうちに体が大きくなり、外へ出られなくなった山椒魚の狼狽、かなしみのさまをユーモラスに描く処女作『山椒魚』、大空の旅の誘いを抒情的に抒情的に描いた『屋根の上のサワン』ほか、『朽助のいる谷間』など12編。

作品感想へ。

山椒魚
説明書きの通り、山椒魚が岩屋から出られなくなるという話。淡々とし過ぎていて、あまりテーマというものが見えてこない。
無理やりな解釈をすればどうにでもとれる。山椒魚がヒキコモリ、めだかたちが日本人の典型、カエルがまったくの自由人・・・
あのラストは日本人に何を伝えたかったのだろう、僕にとっては謎ばかりの作品。

朽助のいる谷間
その名の通り、朽助のいる谷間の話。でもなかなか話が重い。主人公と朽助、そして混血の少女タエトの生活が淡々と描かれている。
井伏は戦時中を生きた人間だということを考えれば、この話は戦時の日本への批判を暗に秘めた作品なのではないかとも思える一作。タエトの美しさが文から容易に想像できるし、谷間の情景描写も美しい。この小説の中で一番よかった。

岬の風景
僕以上のダメ男が主人公。でもちょっと羨ましい。
この作品、自虐的な一人称形式が多い。それと、井伏は女性の描き方がうまい。だからこそ主人公が強くうつるわけであるが。女性や、女性への想いの表現方法は、この作品から学べるかも。

へんろう宿
古い宿屋に泊まった主人公が、そこで宿を経営するお婆さんたちに出会う。
辛い過去を背負いながらも元気でいる老婆たちの姿にちょっと元気を貰えます。

掛持ち
これもちょっとダメな主人公。二つの宿をかけもちしている主人公だが、二つの宿では置かれてる身分があまりにも正反対。一方では冷遇され、一方では厚遇される。だからこそしてしまう彼の愚かな行動は哀しい。

シグレ島叙景
人間関係の深みを感じられる一作。一緒にいるとどうしてもいがみ合ってしまうのに、離れると・・・

言葉について
日本語っていうのは難しい。世の中に敬語や丁寧語なんてものがまったくなく、むしろ乱暴な言葉しかなかったら、もしかしたらそこまで哀しい争いはないんじゃないか、と思った。世の中の逆をついた、うまい作品。

寒山拾得
わけがわからない。たぶんだが、これはエンターテイメント文学だろうか。う~ん、わからない。

夜ふけと梅の花
自虐の境地。これはすごい。

女人来訪
これまた自虐の境地。このダメ男っぷりはどうやって言葉にできよう。読んでもらいたい一作。これまた女性の描写が上手で、とてもきれいな文体だった。女性って男なんかより数倍素晴らしい人種じゃないかと思うのだが。

屋根の上のサワン
動物への愛。だが、動物だからこその哀しい現実。人間は同じ動物として、これを受け入れるしかないのであろうな。「鶴の恩返し」とかいう作品があるけど、これはあくまで現実らしさがある。仇で返されるのは辛いものだなぁ。

大空の鷲
井伏らしい美しい情景描写が魅力。彼は絵描きにもなりたかったそうだ。こんなきれいな文がかけるのもうなずける。
鷲の生き様がかっこいい。それに比べて人間は小さき生き物だ。


全体を通して、テーマをつかみづらい。これを、文芸研究の授業であらすじを説明するのは難しいし、感想を述べるのは辛いなぁ。
どなたか井伏文学について語れる方はコメントで熱く語ってくださいお願いします。
うん、とにかく文章が壮麗。こういう文章を書けたら本当にいい作品が書けそうだな。
ただ、心の糧になるほどの作品があったかというとそうでもなく。
やはり現代小説ばかり好んでしまう自分がいるわけだが、やはり古典文学も読まねばならんかな。芥川とか、太宰とか。

太宰は「人間失格」なんて本を出しているけど、結局もてたわけだしなぁ(笑)カネもあったし。落ちこぼれじゃないじゃん・・・メロスは好きだけどね。

最後になるが、うちの先生は井伏に会ったことがあるらしい。さすが御歳73歳。酒癖は悪いけれど(笑)、井伏鱒二以上にいつまでも元気でいてほしい先生だな。本当に。


曲はケツメイシで「涙」。
自分も本当にダメダメな男だけど、そう思うたびにこの曲に励まされた。涙っていいもんだよ。意外と泣くことでもう一度進む勇気が出たりするから。

“これから生きていけば涙するもの それこそが君が今生きること
今は何も言わなくていい 涙を流すそれだけでいい

溢れた感情は単純にこぼれる涙 止めずに泣いて枯れるまで
溢れた感情は単純に疲れた君を そっと包んで忘れるため”


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浪人中に励まされたシリーズ(?)の曲もそろそろ終わりかな。このジャケット、大好きです。癒されますね。
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