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ON AIR#480 ~手紙~

映画
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手紙
手紙(2006)

お決まりのハッピーエンドでもないし、救いのないバッドエンドでもない。挿入歌どおり、言葉にできない感情のうずまく作品だ。

殺人者の兄を持ってしまった弟。
人殺しの弟である、それだけで、レッテルというものを貼られて生きていく。そのために、お笑いという夢も、恋人との歓びも、断ち切られていく。
怖いことに、先入観とか偏見というものを、人は誰もが持って生きている。しかし、映画は、差別を否定しようとしてもがくのではなく、当然のこととして受け容れていく。運命にひれ伏し、被害者だと嘆きながら生きるのではなく、立ち向かい、ありのままの自分を律していくことの意義を、この映画は、手紙という媒体を通して問う。

他人との関係には、理由や結論が伴う。好きだから関係を持ち結婚する。働ける人だから関係を持ち、雇う、というふうに。
手紙やメールもそれと似ている。僕らが通常使っている手紙やメールには用件がある。ラブレター、年賀状、暑中見舞い、会議の集合時間や場所、誕生日。全ての手紙に、何かしらの理由、結論がある。もしかしたら、奥にうずまく欲も。

しかし、「手紙」の兄弟には、それがない。
手紙も、兄の日々の日常を紡いだ内容がほとんどだ。
理由も、結論も、欲もない、ただの一枚の紙切れが、兄と弟を確かに繋いでいた。
だからこそ、あのクライマックスに、歓びでも、悲しみでもない、感情を与えられたのだろう。
社会、更生、贖罪、そして、絆の意味を、考える、ずっしりとした重い映画だった。
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