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ON AIR#435 ~重松清 「送り火」~

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いきものがかりっていうバンドの曲はなかなかいいと思う。
B'zとか浜田省吾とか小田和正とか、そんなベテランの曲しか聴いてないわけじゃないんだよ、僕。
ミュージシャンって熱いよなぁ。音楽にのめり込み、進路のことなど全く考えずに生きる素晴らしさ。
そんなに夢だけ見つめてられる方が、成功するに決まってるんだけど、そこまで理想ばかり追い求められる性格でもないんだよ。

でもだからこそ、普通な人間の……ろくでもない、どこにでもいる人間の気持ちをつづる小説を読むと、胸が締め付けられる。

okuribi
送り火(文春文庫)

私鉄沿線をモチーフに書かれた重松清の短編集。

読み終わってからずいぶん経つ今でも覚えているのは、まず「フジミ荘奇譚」。
重松清のホラーは、どこか悲しくて、優しいホラーだ。不気味な話だけれど、最後に主人公が選ぶ道がいい。

次に「漂流記」。
いわゆる公園デビューをする母親を描いた話。重松の作品は男目線が多いだけに、こういう作品は惹かれる。

「よーそろ」は、個人的には、この作品の中でも特に人生観が変わるような、強い作品だと思う。
関本という、先輩駅員の愚痴が、今でも強く胸に残る。これは是非一読して欲しいと思う。ここで言ったら楽しみが削がれてしまうだろうし。

「シド・ヴィシャスから遠く離れて」という作品は目のつけどころがいい。パンクに生きた人々のその後、だからね。極端に書かれてるけど、こういう人、実はどこにでもいるんじゃないかな。でも最後は重松テイスト。

表題作「送り火」は涙涙涙。
人の幸せを祈るときは、自分を勘定に入れない……。今の僕は、どうしても自己愛に走ってしまう。だからこそ、目が濡れてしまう。

「もういくつ寝ると」は、死を見つめる作品。
人それぞれの、骨の埋め方。
死んだ後は一人なんだろうか、それとも、一人じゃないんだろうか。
想像は人それぞれだろうけれど、どちらにしても読んでみるといい。
どんなときでも……僕らは死に向かって生きているのだから。
それでも、自分で生きることの一歩を踏みだす主人公の姿を最後に見せるから、勇気をもらえるよね。

ざっとこんな感想。
ありふれた人たちが抱く、どこにでもあるような感情だけど、気持ちが読む人に伝わる。
送り火に託すような祈りは、人を強くさせるってことかな。
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