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ON AIR#430 ~さだまさし 「解夏」~

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解夏(幻冬舎文庫)

さだまさしの小説集。
解説は僕の好きな重松清さんです。

最近、ちょっとおかしな表現だけど、目が目に見えて悪くなっている。
メガネを外しても、今までは見えていた近くの文字がほとんどぼやけてしまう。朝起きて、メガネを探すときが大変だったりする。

映画でご存知の方もいらっしゃると思うが、小説のこの作品は、失明する告知を受けた男の物語だ。読んでいて、最近不自由になってきた自分の生活と重ねる。

絶望的な状況を静かに、穏やかに書いた文体の中だが、力強さを感じるものが多い。
なぜならこの作品は死のメタファーであって、失明するまでの恐怖をイコールで死に結びつけることができるからだ。

失明ではなく、直接「死」という題材で描かなかったのは、ある恐ろしい状態になるまでの過程だけではなく、その状態に実際になった後の本人の感覚、他人に与える影響や心理を主人公が感じられるからだ。そして、その状況を、主人公の目線から描けるから。

工夫してあるが、強烈なメッセージが込められた作品だと思う。
よくこのテの作品に対し、人の不幸を金にするなんて不謹慎と言う人も中にはいるが、この作品は生半可に描かれる単なる題材として失明を描いたものではないと僕は思っている。

光を失うことの悲しみ、家族のこと、友達のこと、そしてすべての意味がつまった作品を批判することはできまい。それほどの光が眩しい作品なのだ。

この作品、「解夏」だけでなく、「秋桜」「水底の村」「サクラサク」という小説が収められている。
このみっつの作品、実は「解夏」に負けない感動に溢れているので是非オススメしたい。どれも最後に、熱いものがこみあげてきて我慢ができない。

さだまさしの文章力はあなどれない。音楽だけでなく、小説もずっと書き続けて欲しい。
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