ON AIR#3733 “Rain Front”

今日も『八月のシャハラザード』の稽古である。

谷口公美のすごさを改めて思い知る。
隅から隅まで作品の内容を知り尽くそうという姿勢は、
私も学ばなくてはいけない。
いつも率先してリーダーシップをとっているという感じ。
二度、舞台を演出したという経験が、こういうところでちゃんと活きてる。
羨ましいなあ、と思うのは、そういった他人(ひと)を引っ張る力だ。
求心力というと、ちょっと大それた感じになってしまうが、
私の場合、集団のなかでリーダーシップをとるということがどうしても苦手だ、
最近よく言われる「嫌われる勇気」もなければ、好かれるための方法も知らない。
自分の行動が誰かの模範になることはめったにない。
説得力に似たものが、自分の仕事に対する姿勢から感じられないんだろうということは、
痛いほどよくわかっている。

前に学祭の責任者になろうとしたことがあって、
そしたら見事に大コケした。
誰の信頼も勝ち取れないまま、その役職を途中放棄した。
どういう流れで、役職を降りたのか、いまではあまり憶えていない。
思い出したくないのかもしれない。
その失敗は、いまだに、トラウマではないけれども苦い記憶である。

今回の役は、まだ公にはできないが、
他人を引っ張っている人間の役だ。
ヤクシャはだいたい、引っ張る人間についていくことが多い。
演出家であれ、監督であれ。そういうリーダーのために働く。
今後に繋げるための自己主張はもちろん必要だけれど、
やっぱり誰かの“駒”でなくてはいけないときがある。

使われていればいい、というのは楽かもしれない。
けれど、その楽に、もう何年も甘えていたんだな、ということはよく感じる。
感じるようになってから、自分を棚に上げて、
芝居のコミュニケーションはとるようになってきた。
鬱陶しいし、おこがましいかもしれないけど、
年下のヤクシャさんのために言えることはちゃんと言わなければと思う。

ああ、この公演が終るころには、
また何か覚えることができるだろうか。
役を演じるということは、人間の、人生の勉強だ。
違う誰かになったぶんだけ、その役をインプットして、
人生のいくつかの大切な瞬間に還元できれば。

もう、いいかげん俳優なんて向いてないよ、という自分と、
いや、まだやれる、絶対またチャンスが来る、という自分。
私の心の図にはそんな前線がずっとかかっている。
じっとりと心を雨にさらして、また稽古に励む。
とにかく8月6日まで、気持ちいい陽の光を感じるまで。

では、また。



【Bチーム出演 藤井裕次郎】
底抜けに明るい、いいキャラしてます。
良い馴れ馴れしさ、良い図々しさが彼にはある。
魅力のひとつだよね。
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