ON AIR#3178 “2006”

同じブログを十年以上書いていると、こんなこともあるもので、
あの頃の私に、会いにいくことができる。
ちょうど十年前、私が考えていたこと。
書いていることのひとつひとつが青臭いし、長いし、そしてどうしようもなくつまらないけれど、
やはり私がほんとうに書いて、ほんとうに思って綴った文章なのだ。
しかし、まさか十年後も、こうして同じブログを書いているなんて思いもよらなかっただろう。
というか、十年後の自分、つまりいま、これを書いている、真夜中の私など、イメージできなかったはずだ。

起きてからまったくやる気が起きない日だった。
なんとか気持ちを奮い立たせ、何もつけない食パンをひときれ食べ、
コーヒーを飲み、事務所から云われていた頼まれごと(パンフレットに掲載する文章作成)をし、
明日以降やらなくてはいけないことを確認し、テレビを見ていたりした。
カノジョはおらず、カネにはいつも困っている。
仕事のお給料をいまかいまかと待ちながら、ATMに行く。
部屋はいつも散らかっているし、
相変わらず、いつの間にか狂っていた生活のリズムが戻らない。

あの頃の私と、簡単には言えるけれど、私がふたりいるわけがないのだから、
「あの頃のボクがいまのボクを見たらどう思うかなあ、がっかりするんだろうなあ」
なんて感傷にはふけらない。
どうなろうと、自分は自分だし、それは自分で選んだ道だ。責任は私にある。
ただ、いまの私より、確実に、十年前、私は夢を持ち、その夢が叶うと信じていた。
いま私は何もかもをあきらめてしまったわけじゃないけれど、
2006年1月8日に書いたこの記事に、一言、
「すまん、もうちょっとだけ待ってくれ」
とコメントしたくなった。
十年間、何もしなかったわけじゃない。けれど、結果が出なかったことを詫びたい。
大人のタマゴは、おじさんのタマゴにはなったが、ついぞ、孵化することはなかったのだ。

十年前書いた記事にあるように、
ほんとうに、あの日以来会えていない昔の仲間は大勢いる。
けれど、十年以上、変わらず連絡を取り続けて、いまも飯や酒に誘ってくれる友もいる。
辛くて辛くて、役者辞めようかと本気で迷ったとき、
飲んだくれながら、「辞めるなよ!」と叱ってくれた友や、
「決めたことだから、俺は止めないよ」って言ってくれた友もいる。
彼らは成人する前から、友達だ。
会えなくとも、ツイッター、LINEなどを通して連絡を取り合える。
便利な世の中で、ほんとうによかったと思う。

一方で、LINEやツイッターでいじめに遭って、
自殺をする小中学生のニュースも目にする。
そういったニュースを見るたび、やるせなくなる。
亡くなった子たちは、成人の日の喜びや切なさも、
友達との出逢いや別れも、将来への淡い期待と不安も、
もう経験することができないのだ。

役者を辞めるか辞めないかと、
人生を辞めるか辞めないかを、同じ机に持ってくることなんてできやしないけれど、
私が迷いに迷っていたときに、そばに誰かがいてくれたというのは大きかった。
家族でも友達でも、ほかの誰かでもいい。
決断がいまできないのなら、いくらでも先送りにすればいい。
学校へ行きたくないのなら、図書館にでも逃げてしまえばいいんだよ。
生きているこの世界に、逃げ道はいくらでもあるんだ。
死ぬことは、死ぬことでしかないんだよ。
決して死を逃げ道にはしないでほしいと、願う、願う、願う。

20歳の自分と、30歳の自分。
あまりにも成長がなくて、肩を落とすことだってある。
でも、こうして今日が無事終ること、明日を迎えることがいかに素晴しいことなのか、いまは解る。
とびっきりの幸せを感じなくても、
なにげない自分が、どうしようもない自分が、愛おしい瞬間がある。
それでいい。

それに、ちょっとは誇れることもある。
体育館でお芝居を見た子供たちの笑顔を見たときに。
劇場で、お客様の笑顔を見たときに。

ちょっとでも笑って、やさしさの大切さに気づいて、困っている誰かに手を差し伸べられるようになれたら。
学校生活の苦しみから解放されるきっかけを提供できたら嬉しい。
次の舞台にも、『音楽室の神様』にも、クラシック音楽になぞらえて、
死と才能、人生について考えさせられるシーンがある。
思春期を迎えた女の子たちが、真剣に役と向き合って頑張っている。
芸の道に青春の犠牲はつきものだけど、自分のことを、たいせつにして生きてね。

明日は成人の日。
明日も、小さい後悔を繰り返しながら、稽古場に向かい、いろんなことに追われるだろう。
あれもやってない、これもやってない!
昨日テレビなんか見ずにちゃんとやっとけばよかった、なんて思うだろう。
年月は小さい後悔の繰り返しだ。
それでも前を向いて、今を生きていたい。

では、また。
十年後も、ブログ書いてるのかなあ。


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【命】



♪弱い虫/馬場俊英
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