ON AIR#3130 “72”

少し前から、NHKの『ドキュメント72時間』という番組を好んで観ている。

ある特定の場所や、仕事場、そこに集まってくる、ごく普通のひとたち。
それぞれがそれぞれに抱えてる想いを、ちょっとだけ取材するっていう内容。
これがけっこう面白い。
カメラが回っていても、出てくるのはみんな一般人。
映されているというちょっとした高揚感のなかでも、被写体は自然とその心のうちに秘めたものを吐露していく。

民法に限らずNHKでも、最近のドキュメントというと、『プロフェッショナル』とか、特定のスキルが必要な仕事に目を向けたものが多い。ミュージシャンや俳優、スポーツ選手とか、私たちにしてみてば憧れの世界の舞台裏に迫る、“専門性”のあるドキュメンタリーがやや多めで、もっと深く、国際情勢など、世界の問題に目を向けたものは、だいたいが深夜に回されている。
もちろんそれはそれで素晴しい内容が多い。私自身、国連WFPアジア地域局長の忍足謙朗さんのドキュメントは傑作だと思っているし、B'zや星野源、見逃したけど、広島カープの黒田選手(見逃したけど)など、知りたいひと、知りたい世界がたくさんある。
でも、こういった専門性のあるひとや仕事、場所などといったものは、最近どのドラマや映画にもあふれているし、いまは情報が本当にあふれかえっていて、どんなひとでも、おカネを遣って時間を割き、その気になって情報を収集すれば、簡単にその世界のことを知ることができる。いまやSNSで芸能人とも簡単にコンタクトをとれてしまう時代だ。

だからこそ、言葉はちょっと悪いけれど、こういう、ある種凡庸な世界のほうが、どこか興味をひかれる。
どこにでもいる、どこにでもある誰かや場所のほうにこそ、そのひとにしかない真実や情熱があるのではないか、と思う。

ひとが十人いれば十人、そのひとにしかないドラマがある。“密着取材”ではなく、ちょっと知り合い、語り合い、その日のうちに離れていく。しかもそのほとんどはおそらく、もう二度と互いの人生が交差することはない。そこに妙なリアリティと、儚さ、そして美しさが存在している。人生の繰り返しのなかで一瞬だけ触れ合う奇跡みたいなものがある。

最近出演した舞台の科白の意味が解るような気がする。
そこに生きるひとりひとりの人生は鏡のように、世界を映し出しているのだ、と。



テレビドラマや映画でも、その題材が普通であればあるほど、面白いなって思っちゃうんですよ。
逆に、医療ドラマとか、刑事ものとか、スポーツ、芸能モノとかは、よほど良質なものでないと好きにならない、最近は。

普通な人生が、ちょっとだけ、普通から逸脱するようなストーリーに惹かれるし、そういう作り手になれればな。

私が見始めたのは最近なんだけど、番組のバックナンバーを見るとどれもが面白そうだ。
再放送、もっとされないかな。

では、また。
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