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ON AIR#2558 SAINT-JACQUES...LA MECQUE(2005)

映画
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サンジャック

『サン・ジャックへの道』(2005 フランス 112分)

先日、『星の旅人たち』という巡礼の映画を観て、いたく感動してしまったので、
そのプレスシートにも書いてあった、巡礼を舞台にした映画がこれ。

たどる道はほとんど一緒なんだろうね。
要所要所で出てくる巡礼の名所は、『星の旅人たち』と一緒だったもんな。
巡礼最後の地で有名なサンディアゴ・デ・コンポステーラの大香炉などは、どちらも荘厳に描かれていた。

しかしこうして立て続けに巡礼の映画を観て感動してしまうと、
どうしても巡礼に行ってみたいと思わないではいられない状態になる。
フランスまでの旅費、またフランスからの巡礼に必要な費用の心配だけでなく、
だいたい、フランス語もスペイン語もさっぱりわからん東洋人に、二ヶ月にも及ぶ旅が果たしてできるのかという不安もないではないが、
バックパックを背負って、たくさんの人間がひとつの目的地に向かって進んでいく、
観光でもなければ放浪でもない旅路に、すっかり魅せられてしまっている。

旅なんかやって、人間の芯が簡単に変わったら、人生はどんなに楽だろうか。
人生、たやすく好転することなどありえない。そんな生半可なもんではないことは解っている。
この作品の登場したクロードだって、最後の最後までウィスキーから離れられない。
そんなものなのだ。なかなか、人間は成長できない。
けれどどうしても、人は旅に惹かれていく。

かくいう私もそうである。
あくまでシゴトだが、ハイエースで全国の小中学校を回って河童を演じたことは、
少なからず大きな経験にはなったが、それで、延々と続く生活を楽に進めたなんてことは感じない。
むしろ、旅によってまずます××になってしまったし、×××もいつの間にか××になっていた。
巡業が終ってから数日、燃え尽きたようになった私は、どうかしていた。
やけに悲観的になってしまい、家族にも、親しいひとにも、迷惑をかけたと思う。

それでも、あの四ヶ月が、心の奥底にきっと宿って、
またつらい経験にあっても、立ち向かっていけるとは、信じていたい。

巡礼という、この長い長い旅は、やがて訪れる「死」に向かって続く日々の繰り返しのなかのほんの一部分である。
だが、何が変わるわけでもないけれど、「もうちょっと先を見てみよう」と、また新しい一歩を踏むきっかけにはなったんじゃないだろうか。
この作品のピエールやクララやクロードがそうであったように。
「それでも生きていく」ことを選択したひとたちの目は、どこまでも美しいのだ。
おそらく、フランスとスペインの国境のわずか5分程度のシーンに描かれた葛藤に、この映画のすべてはある。
そう思う。

この良作を、大きいスクリーンで観られなかったのが、唯一の後悔である。

余談ではあるが、
ジャン=ピエール・ダルッサンを、この数週間で観た映画のなかで三度も見かけている。
『ル・アーブルの靴みがき』、『キリマンジャロの雪』、そしてこの『サン・ジャックへの道』。
最大級の敬意をこめて失礼なことを言うが、どこにでもいそうなオジサンをここまで魅力的に演じられるフランス人俳優がほかにいるだろうか。
いや本当に素晴しいのである。
また銀幕で、彼を見たい。
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