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ON AIR#196 ~湯本香樹実 「西日の町」~

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最近、腹が出てきているのが、目下の心配である。
最近は気を使って、駅でもなるべくエスカレーターを使わないで、階段を歩くようにしている。
何をするでもなく、東所沢から遠出して違う街まで行き、軽く東京の街を楽しむ日もあった。

それでもおなかに感じる不快なぷよぷよ感はいっこうになくならないのは何故なのか全くもって不思議がっていたら、ある意外なところに気づいた。いや、意外じゃないかもしれないけれど、とにかく僕にとっては意外だったのッ!

マクドナルド。

そうだったそうだった。ここのところ、週3日はお世話になっているマクドナルドだけれど、まさか「スーパーサイズ・ミー」の世界が僕にも襲ってくるとは、大学に入る前はわからなかった。
いや、この安さと時間を潰すには最適な空間はやっぱり魅力だものね。

このマックが僕のおなかの最大の原因になっているとは夢にも思わなかった。

昨日の新歓隊長の話し合いが終わり、所沢駅での黒猫さんとの会話を思い出してみよう。

「あ~あ、今日、家では飯食わないってことにしてたけど、やっぱり食べようかな~飯」
「えええ!」
「どうしたの?」
「のびちゃん、マック食べてまだ食べるの?」
「だって足りなくない?2時間後とかおなか減らない?」
「足りるって!それでなくてもマックは太るんだよ
「ひょえええ」

結論づけてみると、つまりカロリーの高いマクドナルドを食したあとに、さらに余分な栄養素を摂取しているというのが、僕のおなかを膨らませる最大の原因らしい。これは困った!これからマック行く数減らさなきゃ!マックはやめてロッテリアにしよう!

けれど、誘惑に負けて、昨日は鯖とサラダとひじきとバームクーヘンと珈琲をおなかに入れました。



というわけで、新事実が発覚したので、今日も僕は外に出かけることにした。休日は家にこもりたがる僕だけれど、運動して腹をへこませないと。



夕暮れの街を自転車で長いこと走っていると、僕はこの街がずいぶんと変わってしまったことに気づく。
自分のよく歩いた道の畑が建物になっていたり、近くの家の飼い犬の姿がなかったり。哀しいほどに街は変化し続けて、僕と一緒に生きてきた景色は死んでしまった。

けれど、僕の街はとても夕焼けが綺麗だ。
東京や所沢では建物に隠れてしまって、あまり夕焼けの美しさに気づくことはできない。
この夕焼けだけは、今も昔も、そしてこれからも、ずっと変わらない。


20060211234138.jpg

西日の町/湯本香樹実

文春文庫からの一冊。

オムニバスの文庫で、「いじめの時間」という彼女の書いた作品を読んだことがあるが、それ以外で彼女の作品を読むのは、「夏の庭」と「ポプラの秋」に続いて三作目になる。湯本香樹実さんの本は、どの作品も、心に徐々に沁みてくるようなものであった。1篇の詩を読むかのように、切ない、そして落ち着いた気分に浸れる。それは、この「西日の町」でも同じであった。

和志という男の子の目線から、「てこじい」という妙な名前をつけられた自分の祖父と、母親の生活が、淡々と、簡潔に語られていく。
和志にとって、てこじいは、常に謎に満ちた存在であった。過去にどういう人生を生き、何を感じて、今、僕の部屋で生活しているのか……。それが、少しずつ明らかになっていく。

てこじいの生き方は、他人にとってはあまり理解できるようなものではなかったかもしれない。けれど、彼の心には常に信念が通っていて、それが、和志の心を引きつけていたのであろう。

病院で、母親が涙するくだりはものすごく感動的で、湯本香樹実ならではの文章能力だなぁとしみじみ思った。僕が読んだ過去の二作もそうだったのだが、「てこじい」という、傍から見れば変な存在が、一気に存在意義を確立する瞬間を見せてくれるのである。

簡単に読めるのに、どうしてこんなにも心に残る作品が作れるのか不思議でならない。湯本香樹実さんには、その目を決して曇らせることなく、若いままでこれからも作品を書き続けていって欲しい。小説の大きな力を見せつけられた一作である。

彼女があとがきで紹介した、佐藤溪の詩「ともだち経」が、ものすごくいい。変わり続けることの哀しさ、空しさを感じ、それでも、友の今を想う気持ちが込められた、とても素晴らしいものだった。
最後になるが、この作品は、湯本香樹実さん自身が経験してきた街の景色をモデルに作られている。この小説のような景色が、今も生きていることを願う。
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  •  ● 西日の町 湯本香樹実 
  • 西日の町湯本 香樹実 文藝春秋 2002-09by G-Tools老人と子供と死の話。とても湯本さんらしいのですが、この本は大人向けということで、あの「夏の庭」とは、少し違った雰囲気になっています。主な登場人物は、てこじいと、その娘である母と、僕。「夏の庭」と違うのは、僕
  • 2006.02.12 (Sun) 22:49 | IN MY BOOK by ゆうき
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  •  湯本香樹実「西日の町」
  • 母の葬式の日、叔父と一緒に思い出を語った。母の思い出といえば、Kという町でのことが印象的で、それは祖父のてこじいの思い出にもなる。ある日、6畳ふた間の社宅に突如やってきたてこじいは、ずかずかと部屋に上がり込み西日のあたる部屋のタンスの横に腰を落とした。寝
  • 2006.02.13 (Mon) 00:52 | emeu memo.