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ON AIR#182 ~塩田明彦監督作品「この胸いっぱいの愛を」~

映画
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今日は同じ部活の先輩がうちの地元にやってきた。
もうこのブログでもよく話しているので、愛読者の皆さんは「またかよー、うぜぇよモー」なんて思うかもしれないけど、話しちゃうモン。

僕の住んでるところは、浅間山の見える場所にあり、群馬に近い埼玉県民なのだ。
そのため大学には往復4時間の通学を迫られているというなんともウェイステッドな生活をしている僕なのだが、そんな僕の地元になぜ、先輩が来たのかというと、映画が観たかったからなのである。
深谷シネマで上映する「この胸いっぱいの愛を」。

しかしながら、先輩、よくここまで来られました。深谷駅を降りたときの疲れきってヘナヘナになった顔は一生忘れることはないでしょう。



この胸いっぱいの愛を

この胸いっぱいの愛を(2005)

「黄泉がえり」の塩田明彦監督が、「黄泉がえり」のスタッフで制作した新作映画。「海猿」の伊藤英明と、「着信アリ2」のミムラという、近年目覚ましい活躍を見せている両名の共演。
特にミムラさんは深谷市出身ということで応援している女優である。もう、さまぁ~ずの人とは間違えないモンね。

物語はタイムスリップ物。主人公が飛行機に乗って降りた第二の故郷の世界は、20年前の1986年1月5日となっていた。なぜ20年前に彼は戻ったのか。そして彼はそこで何を目にするのか。

実はこの作品、去年に友人から頂いた試写会のチケットによって、公開よりも前に観させて頂いた作品である。一枚のハガキがペアチケットとして使えるので、別に二人でも一人でも行ったっていいのだが、試写会の会場では、ほとんどがイチャイチャのアベックで、
「いやーん、もうこの映画って泣きソー」
「そんなぁ、おまえ、伊藤英明に恋すんなヨなー」
「そんなことないワよ、あたしの心はずっとあなたのも・の・よ」
なぁんて声が聞こえてきそうな雰囲気がモワモワと漂っていて、ずいぶんと居心地の悪い気分を味わったものである。しかも入場の際、係員に、

「あ、お一人様…ですね」

と言われてしまい、ちょっとほろ苦い(というかヒジョーに傷つく)経験をしたのが印象的だったが、この作品を観たあとは、そんなことなどまったく忘れてしまって、ただただ涙を流すのみなのであった。鑑賞中に至っては、会場中が、

「ズビズババっ」
「じゅじゅるうううう」

という洟をすする音に包まれ、鑑賞後なんかは、

「いやーん、やっぱりあたし泣いちゃったじゃないの」
「そんなぁ、伊藤英明に恋すんなヨなー」
「そういうあなただってミムラに泣かされてたじゃないの」
「おまえはよー」
なぁんて声が聞こえてきそうなほどで、みんなハンカチを手にしていた。いや、妄想じゃないよ、ホントの話。

たぶんこの作品ほど鑑賞後に晴れやかで切ない感情を抱いた作品は、去年はなかったであろう。帰りの電車の中ではもう一度涙がこみ上げてしまうし、家に帰ったあとにお風呂で踵を洗いながら、

「いい作品だったナァ、ううぅ」

と涙にくれるほどであった。


とにかくすべてが好きである。伊藤英明の演技は、決して上手いとは言えずも真剣さが伝わってくるし、ミムラさんの表情の作り方はとても愛らしい。伊藤英明がミムラの隣で微笑みながら少し黙っているシーンなどは、「ああこの人幸せそうだぁ」と思わせる。

特に、20年前の主人公を演じた富岡涼くんに至っては、

「こりゃ第二の吉岡秀隆だッ」

と思わせる演技力(余談だが、この子は吉岡秀隆と「Dr.コトー診療所」で共演済みである。最新作は「小さき勇者たち~ガメラ~」なので、絶対チェック!)。

特に、主演陣だけでなく、本作はどんな脇役にもストーリーを作る上で欠かせない活躍ぶりを見せる。
倍賞千恵子さんや、宮藤官九郎さん、勝地涼さん、そしてその他の著名な俳優さんたちにまで、その役割はキッチリ与えられているのが素晴らしい。決して無駄な顔見せに終わらない脚本作りには「見事」の一言に尽きる。

映像の作り方もよかった。九州の風景は、最近、よくロケ地に使われているだけあり、どの映画を観ても、坂や海の出てくるシーンはいつも、詩的な美しさに溢れている。
いや、室内のシーンも、とてもよくできている。あんまりこういうことには詳しくないのだが、あまりアップで人の顔を撮らず、下手に感動を煽ったりドラマチックにしないところを逆手にとって、不思議な切なさを演出しているように思えた。

いやいや、そういう理屈は抜きにしても、タイトル通り、愛に満ちた傑作だコレは。映画の王道をひた走る感動作である(この王道っぷりが嫌な人も中にはいるかもしれないけれど。タイムパラドックスもかなりあるし)。
何よりも、再見に耐える作品であることが強い。だって僕が二回目の鑑賞であれだけ泣いちゃったんだから。
本作は病気を題材にしているにしても、「命とは何なのかッ!?」「生きるって何なのかッ!?」みたいな、そんな社会派な一面を全面に押し出した物語では決してない、だけれど、「命」とか、「生きる」ことが、少なくとも、

「なんかよくワカンナイけどさ、とにかくいいことなんだよ、生きるって」

と、優しく、そして強く語りかけるような作品。
そして同時に、「後悔」もテーマにしているように思う。「我が人生に一片の悔いナシ!」って叫べるような人は、非常に少ないわけで、もちろん僕にも悔やんでも悔やみきれない哀しい悔いはあるわけで、それを、もう一度過去に戻ってやり直せたらどんなにいいか、と、鑑賞後に思ったりもした。
けれど、現実世界は当然、映画ではないし、過去に戻るなんてたいそうなことはできない。けれど、どんな後悔を残しても、これから先を強く生きていくために、いったい何が必要なのかを、この作品は教えてくれたような気がする。

最後に、この映画のラストシーンについてお話したいと思う。
本作のラストシーンは、観た人の中ではかなり話題になっているのだが、僕としてはあのラストは好きだ。
あのラストについて僕が思うのは、その人の人生に関わった人が誰一人かけても、その人生は成立しない、ということだ。言葉で表現するのは少し難しいけれど、ある人が誰かと関わる場合、その人にもその人の人生があって、その一つ一つが結びつくことで、人の人生は構成されていくという、まぁごく当たり前のことなのだけれど、あのラストシーンはそれを伝えるためだったのではないかと思われる。
前述したとおり、本作は脇役が輝いている作品でもある。誰一人くすんでしまっても、この映画は感動できる作品ではなかったはず。柴咲コウの主題歌の最後の詞に「みんながついてる 愛を伝える」とあるように、人が人に愛を伝える場合、それは必ずしも自分一人の力ではない、ということ。生きることって、愛することって、いいモンですねえ(何言ってんだとツッコミを喰らいそうだな)。

最後の最後に。
命をかけても愛し続けたい人って、いますか?
僕にはいますよ。

「この胸いっぱいの愛を」は、そんな、身近な愛をもう一度確認させてくれる映画なのです。



Sweet Mom/柴咲コウ

突き出した愛の丘
あなたがいる
ソファに腰沈めて
また丘を撫でましょう

いらっしゃい 安らぎの町
私が愛を与える
いらっしゃい 泣いていいのよ
元気を与える

笑い合うそのとき
描きながら
弓のような まなざし
待ち焦がれてる
期待する この胸
嬉しすぎて
高まってしまってどうしようもない

あなたがいない昨日に
もう未練はないのよ
ah 華やいだ 明日がくる

包み込む優しさを
持て余して
包まれることばかり
求め過ぎてたみたい

「もろい芯 みせずにつよく」
そう思うほどに崩れる
立ち直る術を知らずに
何度も溺れた…

今 あなた静かに寝息たてる
こみあげる 泣き虫
さらり 捨てましょう
今そっと 宝石腕に抱いて
さようなら 弱虫
居場所見つけた

あなたこの先うつむく時も
みんながついてる
愛を伝える


20060129214544.jpg

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  •  この胸いっぱいの愛を
  • 7日に試写会を観ていい映画だったな~と余韻に浸りながら深夜バスで東海地方へ。9日に鈴鹿にF1を観に行き、その次の日にここで観た映画が、「この胸いっぱいの愛を」です。これも予告編を結構観たな~。「黄泉がえり」のスタッフが贈る「未来からの黄泉がえり」、なんて
  • 2006.01.29 (Sun) 23:58 | 欧風
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  •  『この胸いっぱいの愛を』
  • この胸一杯に愛が満たされましたよ!幸せな気持ちでいっぱいです。o(^-^)o“愛”それは、“素直な気持ち”でしょうか?伝えたくても伝えられない、愛しくて、切なくて、そして、激しい愛のカタチ。しっかりと届きましたよ!まさに、この胸いっぱいに愛をです。(*^_^*)ごちそ
  • 2006.01.30 (Mon) 21:08 | Simply Wonderful ~Diary & Hobby etc...~