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ON AIR#1074 K-20(TWENTY)怪人二十面相・伝(2008 日本 137分 12/23 豊島園 ユナイテッドシネマとしまえんにて)

映画
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K-20.jpg
上映後、後ろで観ていたカップルの男のほうが、「ダークナイトくらい面白かった」と言っていた。
映画を勉強しようとか思ってない人に認められる映画の価値って結局のところでかいです。
どんなに映画批評家や評論家、脚本家や監督に認められようが、周りにいる皆さんに届かなければ意味がない。いろんな人の心を動かせることのほうがやっぱり重要です。
『K-20』の場合それがかなり感じられるんだよね。
劇場で観てる人、僕も含めてかなり大ウケだった。観てる人をいかに楽しませるかを考えてる。

「おいおいそりゃないよ」と思うくらい展開に無理があったり(おそらく原作を相当はしょって作ったんだと思われる)、怪人二十面相の正体とかは予想通りだったとか、金城武は相変わらず日本語の演技が棒読みだとか、いいあげればキリがないくらいツッコミどころあるけど、それをカバーするアクションと笑い、そしてさりげなく提示されるテーマ。

この作品は格差社会に対して言及している。
感じなければいけないのは、世の中には身分というモノが少なからず存在し、現在でもそれに縛られながら生きざるを得ない人がたくさんいるということ。
特にここ最近、小泉政権になってから、確実に弱者は無残に捨てられるような世界ができつつある。資本主義に名を借りて、民主主義は崩壊し始め、それぞれの考えや生活は無視されている。
本作には子供が出てくる。現実に子供が飢餓によって死ぬ。その出来事から、主人公は重要な決心をする。そして怪人二十面相もクライマックスで格差についての怒りをあらわにする。

恐いのは、格差が国家間で起きつつあるということだ。
富を支配し独走し始めたアメリカや先進国と、置いてきぼりにされた途上国の溝は深まる一方で、問題のある国は攻撃し、独占すればいいと考える先進国が出てくる。真の正義も知らずに自分がかも人類の代表であるかのように。
しかしながら先進国が、アメリカの不況を筆頭に崩れ始めた。一人がコケればあとは将棋倒しのようになる。アラブのかの都市もそれによって砂上の楼閣となり、歯車がズレ始めている。それに目をつけてくる国だってきっとあるはずだ。
『K-20』で二十面相が行おうとしていた本質はまさにそこにある。彼の行動は格差への制裁であり、かつて自分が被ってきた苦しみに対する報復でもある。実際に観て貰えば分かるだろうが、やはり怒りの矛先はあの国だった。

『K-20』は、ただのアクション映画ではなかった。テーマをさりげなく忍び込ませている。きわめて現実的な問題を提起し、その中でも、強く生きることを、自分の中の正しさと向き合うことの意味を考えさせる。だから、どんなに展開に無理があろうが、伝えようとしている楽しさとテーマがちゃんと立っているから喜べるのだ。
何がやりたいのか分からないハリウッド映画とか、泣かせることや原作に忠実に作ることに拘泥して、見せ所があやふやになっている邦画の大作なんかよりも断然いい映画だった。137分、あっという間だ。
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