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ON AIR#1043 容疑者Xの献身(2008 日本 128分 11/21 豊島園 ユナイテッドシネマとしまえんにて)

映画
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・本日は全部ネタバレするような書き方をしてしまいますので、今のうちに書いておきます。

容疑者X
・まずは、予想通り、堤真一が好きだなあ。『クライマーズ・ハイ』とは全然違う演技。この人にはクセが感じられない。
福山雅治は相変わらずカッコいいな。あのマフラーの巻き方、教えて欲しい。劇中で着てたグレーのコート、何万くらいするんだべ?

・謎解きモノとしてはかなり良い線をいっている方なんだと思う。僕は推理とかそういう映画や小説や漫画は普段触れてないので、かなり面白くは観られた。ああ、こういうことか、と思わせられたんだから、そうなんだろう。構成がいいんだろうな、わざと始めから見せないという基本をやってる。劇とストーリーは違うのを見事に示しているし。

・ただ……見終わってみると何も残んないんだなあ。
消化不良な点とか、疑問が多々あって。

・まず一つ目。
この事件のトリック、別に相手が数学者じゃなくてもよかったんじゃね? 何故数学者? という根本的な疑問。いや、確かに、数学一筋だったのが、松雪泰子が扮する花岡靖子に人知れず恋をしていて、そんで事件に関与して……というのはいいんだけれど、相手が数学者の考えてるトリックだから解きにくい、手強いんですよ、という事件ではないと思うんだよ。
辛うじて「簡単なヒッカケ問題」というテストの話から数学者らしい内容には見せかけているけれど、本質的なトリックに関してはまったくもって数学的ではないだろうな、と。

・二つ目。
雪山のシーンがどうも浮いてるんだよな、あれは何のためだったのか?
石神が湯川を殺したかった、というイメージで作るにしてはどうにも中途半端だった。
殺したいのかと思うと、石神、すぐ湯川助けるし、湯川も湯川で石神に対してロッジで打ち解けているし。で、「これで雪山に登るのは最後だ」という科白があってさ、じゃあ自首するつもりなのかとも思わせてもしまっているし。
湯川を雪山に誘って殺そうとするのなら自首するつもりはないのかもしれないし、単純に、容姿や人生の充実感では湯川に負けるけど、知性や雪山の体力では負けたくなかったのを見せたかったのか、
正直なんの意味があって雪山のシーンを入れたのかが、見えない。

・三つ目。
肝心の死体と日にちのすり替えに関しての部分だけど、明らかに血液型などの鑑識で死体の身元が割れてしまう危険があるんではないか、靖子の夫が泊まった部屋にホームレスをとめて、翌日に殺害して、指紋も顔も分からないようにしてごまかそうとしてるにしても、とりあえず別人であることは簡単にバレるだろう。足跡の鑑識で、犯人が日常的に自転車に乗っているかまで分かってしまう時代に、あまりにも根本的に無理のあるトリックだと思う。

・四つ目。
石神は何故死にたかったのか。靖子に対して想いを寄せた理由が、石神が部屋で自殺しようとしてたのを知らずのうちにたまたま止めてくれた、のは分かる。
じゃあ、何故もともと死にたかったのか。靖子のおかげで生きて、立ち直って、靖子に献身的な協力をする動機の大きさが伝わらなかった。
数学一筋にしては雪山に登る趣味もあった。親が寝たきりになって大学の研究から数学教師になったのが不満だったにしても、親が今は死んでるのかまだ生きてるのかも見せない。親が死んだのなら湯川に「数学の研究はどこでもできる」なんていわずに大学に戻ればいいし、死んでないのならあんな部屋にいないで親元にいるシーンも見せなきゃいけないし。
どうして死にたいと願うのかが分からず、「自殺」という道具をもてあそんでるとしか思えなかった。

・五つ目の極めつけとして、湯川が感情的になって涙するシーンと、
靖子が石神のもとに来て絶叫して泣くシーンは、少し浮いてるように思えたな。
なんというか、天才学者も人間なんだよ、って言いたかったのかな。
それならもっと静かに見せてくれよと。説明的すぎる。
それは許せても、
一番許せないのは、内海が言う、
「石神は、花岡靖子に生かされていたんですね」っていう科白。
なんじゃ、そりゃ。わかってるっつの。
そういうテーマの決め付けが観客が入り込む余地をなくしていくんだよ。
全然分からないで物理学者にほとんど真相を教えてもらっただけのくせに、何をわかった風な口をきくんだよ、内海。
最後の最後で白けるという終わりがむなしかったなあ。

・なんかそういうワケで、劇の面白さは分かるけど、
学者と一般人の間の溝というか、そういう人間劇にするのならもっとするべきだったように思う。「人間」があまりにも見えなすぎる。
こういう話なんだったら初めからテレビテイストしてしまえばよかったんだし、わざわざ、中途半端なヒューマニズムをこしらえる必要はなかったよ。

・余談ですけど、冒頭の大爆破のシーンは何がしたかったんだろう。磁石と鉄球の実験は面白かったけど。
あと、長塚圭史の典型的なワルぶりはよかったです。もっといろんな映画に出て欲しいです。
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Comments 2

六花  
Re: ON AIR#1043 容疑者Xの献身(2008 日本 128分 11/21 豊島園 ユナイテッドシネマとしまえんにて)

この映画見たいんだよー
先に原作読んじゃったから、
謎解きに関しては特にネタバレとかは気にしてないんだけど
一つ気になるのは雪山?
え、原作には微塵も出てこなかったぜ??
何で入れちゃったんだろうね。笑”

石神さんが数学者な理由、
原作読んでもらえれば少しはすっきりするかもよ。
でも映画を見ただけじゃわからないのなら、
それって作品としては言葉足らずなんだよね。
って最近卒制作りながら思ってます。
どんなに設定をしっかり作ってても、
それを見る人に伝えきれないんじゃ意味がない。

ものづくりって難しいですな。。

2008/11/25 (Tue) 20:21 | EDIT | REPLY |   
のび  
コメントありがとうございます。

雪山は非常に浮いたシーンだったと思います。湯川不在の中で内海が頑張る、というわけでもなかったし。ってか、内海という人間に一つの魅力もないという痛さが目立ちましたね。スターダストプロモーションが嫌いという色眼鏡もありますが……。

映画を作ることがもしあったなら、やっぱり「人」が伝わればいいな、と思います。
単なるシンパシーじゃなくても、こういう人間をどう思うか、観てくれた人にその機会を与えるようなそんな作品を書きたいものです。

ものを作ることに、もっと飢えたい。

2008/11/28 (Fri) 05:41 | EDIT | REPLY |   

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